神戸でお好み焼を頼むと、たまに「これ、ドロね、よかったらどうぞ~」と言って出てくるソースがある。
ドロ、ってなんや?
ドロソースというのは、ソースのたまりのようなものである。市販されているウスターソースやトンカツソースは上澄みで、これを濾す際に残った沈殿物がドロソース。したがって、生産量は少なく、地ソース工場の周辺でしか流通しない貴重品だそうな。メチャクチャ辛い。気持ちかける程度でないと、絶対後悔します。汗はダラダラ出てくるし、てっぱんより熱いのではないかと思うほど舌が焼けます。冬場は風邪をひくので止めた方がよいかも。ちょっと脅かし過ぎか。ちなみに「神戸とお好み焼き」の著者、三宅正弘氏は「食べるサウナ」と呼んでいる。
大阪ではお目にかかったことがなかった。神戸で、それも神戸駅以西で食べるようになってから知った。普通、お好み焼屋ではウスター系とトンカツ系のふたつの種類のソースを、お客の好みで混ぜて食べる。ウスター系が「辛み」でトンカツ系が「甘み」。これ以外に、「激辛」のドロソースが、あるところにはあるのだ。
ドロソースも最近は市販されている。阪急オアシスにはあった。オリバーソースが「どろソース」と名付けて販売している。うちにも1本ありますが、なかなか減らない。こないだ自宅でお好み焼パーティーをした際提供したが、来た人は皆、知らなかった。これはちょいと刷毛で塗って食べるぐらいがいいんです。皆、慎重で少しずつしか使わなかったのでまた残ってしまった。
さて、ここんとこの「てっぱん」は人情ドラマべったりで泣かせてくれます。お好み焼屋を中心とした地域コミュニティの泣き笑い、と括ってしまうと味もこくも失われてしまうのだが、わしが子供の頃にいってたお好み焼屋には、「おのみっちゃん」みたいな雰囲気が確かにあった。近所の蕎麦屋の若奥さんが姑との軋轢の相談をしていたり、隣の中華料理屋の若いコック同士の喧嘩の仲裁をやっていたり、パチプロが大量注文をしたり、女子高生がバレンタインチョコレートの仕分けをやっていたりして、なかなか人生勉強になった。
先に取り上げた「神戸とお好み焼き」という本は、お好み焼の歴史と蘊蓄が詰まった著書であるが、お好み焼屋を街づくりに活かそう、という提案の本でもある。お好み焼でも都市論や社会学が出来るのである。
ところで京野ことみさん、「鞍馬天狗」以来です。べっぴんさんやなぁ~。





